初めての方のレッスンで最初に音を出した時、講師側から何かお伝えする前にまずは生徒さんに「どんなことに気をつけて吹いていますか?」ということを尋ねるよう心がけています。
講師としては最初の一音を聴いた瞬間に、気になる問題と原因・対策などたくさん頭に浮かんできますが、レッスンではそれらを全て伝えるのが良いわけではないのです。
まずはどんな意図で何をしようとしているのか。
その結果起きていることは「出ている音」ですが、それを本人がどう感じているのか。
変化を望むのかどうか。
これらは何かアドバイスめいた口出しをする前に、ご本人が向かいたい方向性のアドバイスを選ぶため最低限知っておくべき項目です。
ということで「どんなことに気をつけて吹いていますか?」という問いかけをします。
それに対して返ってきがちな言葉は、「体幹をちゃんとさせることを心がけています」「お腹を意識して吹いています」などのお返事。
それで上手く行っているなら何の問題もありませんが、何かが上手く行っていないなら考えてみたいことがあります。
それは
・ちゃんとさせる
・意識する
これは具体的には何をどうすることなのかということ。
これも尋ねてみると「胴体のあたりをクッとする」とか「お腹あたりでこう、どんとして」などの答えが返ってきますが、何をどうするのかは全然わからないことが大変多いです。
例えば音をまっすぐにのばしたり、綺麗なppのスタッカートをするのが目的だとしましょう。
そのときに身体の何をどうコントロールすることなのかあやふやなまま、「ちゃんと」何かしなければならないとしたらどうでしょうか。
混乱するのが普通なのではないでしょうか。
音や吹き心地を変えたいと思うなら、「ちゃんと・しっかり」などのあいまいなイメージでなく、実際に自分の意志でコントロールできる何かを具体的に変える必要があります。
身体のどの部分で何をしていると気づいているのか、それをどう変えられる可能性があるのか。
まずは現状をどう認識しているのか自分自身でも知るために、抽象的な言葉やイメージ言葉ではなく現実的で具体的な言葉にしてみることを心がけましょう。
そういうことを一人では整理できない場合には、レッスンが助けになります。
演奏するときに心がけていることを具体的な言葉に出来ると、思考も動作も整理されるもの。
そしていつかレッスンで自分の生徒さんに伝えるときにも役に立ちますよ!