楽器を吹きたい気持ちはあるのにできなくて、好きなはずの音楽に関わることで逆にどんどんフラストレーションがたまってしまう忙しい大人奏者はきっと多いでしょう。
頭も気持ちもごちゃごちゃで「何から手をつけたらいいのかわからない」そんなときに出来る忙しい大人が効率よく練習に取り組むためのアイデアをまとめてみました。
もくじ
多忙で練習できない!そんなときに
アマチュア奏者は演奏が本業ではないから時間をかけることができない、と思いがちですが実はプロ奏者も同じように時間がないジレンマを抱えているのです。
仕事で必要なレッスンの準備や仕上げる期限のある曲はまず最初に片付けなければならないので、「いつかやってみたい曲」「本当は一番好きな作品」「この編成でこんなコンサートをしたい」そんな想いはいつも後回し。
「いつか時間ができたら考えてみよう」
「そのうち余裕のあるときに詳細を詰めようかな」
ついそうなってしまうのは程度の差こそあれプロもアマチュアも同じ。
仕事も家のこともあって、本当にやりたいことをいつも一番には考えられなくてモヤモヤするその気持ち、よくわかります。
かといって「いつかそのうち」なんてぼんやりと思ってることはまず実現しませんよね。
そんなときオススメなのは、まずは予定を立ててしまうこと!
出来そうかどうかは関係なく、とりあえず手帳に予定として書き込んでみるのです。
そうすると意外にも準備しなければならないものや、整えたい条件などが整理されて見えてきます。
「この予定はこっちに動かして、あれはここで手に入れて」、そんな風に考えてるうちに不思議とだんだん出来そうな気がしてくるもの。
もしそれでも無理そうならやらなければいい。
そして手帳に仮で書いてみたことででやれそうな気がしてくるのなら、実際にチャレンジしてみてもいいでしょう。
いつかやりたいことや身につけたいことは「いつか」と思っていたらいつになってもできません。
まずは予定として組み込んでみる。
それから問題になることをひとつずつ調整をしていけば、「いつか」は「今」になるかもしれませんね。
仕事や子育てが終わってからもずっと続く、これからの長い音楽ライフをもっと楽しくするために、早いうちにやっておきたいことは予定にしてしまってから可能かどうか考える。
結構オススメの考え方ですよ。
ほんの数分だけなら音出しできる人は
せっかく確保した15分でムダな練習してませんか?
「お昼ご飯を急いで食べたらカラオケに行って15分だけ練習できる!」そんなせっかく確保したスキマ時間、どんな練習をしているでしょうか。
もしかしたらロングトーンをするだけ、スケールを超高速でやるだけ、はたまた自分の好きな曲を吹いてみるだけになってしまってるのではないでしょうか。
慌ててご飯を食べて気持ちはソワソワしてるし、カラオケでお部屋に入れたら楽器の準備片付けにも時間がかかるから急ぐし、つい練習内容まで頭が回らないってこともあるでしょう。
そして思い出せるのはやったことがあって慣れていて、すでに吹ける曲。
「とにかく音出ししたい!」と思っていたら頭に浮かんだものをつい吹いてしまうのはよくわかります。
練習とはどう進めるものなのかがわからないうちは、そんなやみくもな練習法ですでにできてることをやって「音出しできた!」という気分になってしまうもの。
でも残念ながら、そんな練習では全然上手くはなれません。
なぜかというと練習は今の自分に足りないことを補う作業だから。
今できないことを出来るようになるには、やはり時間がかかります。
脳の回路を新しく作っていくのですから当然です。
それでもちょっとのスキマ時間でうまくなりたければ、事前に今日15分でやる練習を決めておきましょう。
- まずは最初の5分でスケールとブレスのウォーミングアップを兼ねた練習をする
- 次の5分で合奏でいつも出来ないフレーズのリズム練習をする
- 最後の5分で好きな曲をちょっとだけ吹いて気分をスッキリさせる
そんな風に計画を立てることだけなら、電車を待ちながらでも歩きながらでも出来るでしょう。
計画的に練習できたら確実に上達していきますし、せっかく確保した15分を有効に使うことが出来ます。
音を出す前にまずは計画を立てる、大切にしてみてくださいね。
上達のために練習をやめる
普段平日には練習の時間が取れなかったけれど、休日のやっと楽器の練習をできる日。
そんなときってもったいなくてついやり過ぎてしまいませんか?
「せっかく練習できるチャンス、たくさんやっておかなくては!」
「まだ時間はあるからもう少し」
「一日休むと三日分下手になるから取り戻しておかなくちゃ」
と張り切ってたくさん吹いては疲れて口も身体もヘロヘロに。
しばらく休んでいて久しぶりに吹く時は楽しくてついついたくさん吹きたくなってしまいますよね。
でも夢中になって吹いているうちに、唇や腕にはいつもより早く疲労が溜まってきます。
しばらくお休みしていた後は筋力が落ちているので身体はすぐ疲れるもの。
そして疲れてきた部分をカバーしようとして、本来やりたい動きではない奏法で吹いてしまったり。
こんな風に本来望む動きでないことを続けていると、それが奏法として身についてしまいます。
だから不安をかき消すために考えなしでたくさん練習してもダメなのです。
不安を解消したいなら焦らずひとつずつ丁寧に本来選びたい奏法で吹いていき、本当に出したいと思う音質になっているかをどうかよく聴くこと。
そしてちょっとでも負荷がかかってきたなと感じたら、潔く吹くのをやめることができる心の余裕を持ちましょう。
そういう手順を大切にすると、筋肉が疲れてるのに無理のある奏法で吹き続けてトラブルを招くようなことはなくなるでしょう。
時には練習を止めるのも上達のための大切な選択です。
時間はあるけど音を出せない人は
静かに音出しをする方法
音を出せない状況だけれどどうしても実際に楽器を吹いて練習をしなければならないとき、どんな練習方法があるでしょうか。
以前全国で講習会などで活躍されていてホテルに滞在してることが多い忙しいクラリネット奏者さんに、「練習はどうしているのですか?」と尋ねてみたことがありました。
わたしは移動先でどうしても必要なときにはカラオケや車の中で音出しをすることが割と多いですが、その奏者さんはホテルで音出しをするそうです。
でもホテルじゃ隣近所の部屋に迷惑になってしまいます。
さらに尋ねたところ、音になるかならないかギリギリのppで吹くのだそう。
試しにわたしがその場でちょっとやってみたところ
というので極限的にpppで吹いてみても
とおっしゃいます。
なるほど究極のpppで練習するのは発音のコントロール精度が相当高くないとできません。
音になるかならないかギリギリのアンブシュアと息のバランスが、理屈だけでなく体感としても分かっていないとできないのですね。
普段わたしたちはちょっと吹きにくいなと感じるとつい思い切って吹き込んでしまい、力ずくで音にすることが多いのではないでしょうか。
そういう体力頼りの奏法ではなくて繊細なバランスのコントロールを身に付けるのも大切なこと。
偶然任せにやたらと力んで出したり、隣の音が出たついでに出てしまったり、ということではなく確信を持ってピンポイントで良いツボを狙って発音していく。
それはブレスコントロールとアンブシュアコントロールの精度が上がっていく、とても良い練習方法なのかもしれません。
体力が落ちている方や、忙しくて時間がない社会人奏者にはぜひとも取り入れたい練習方法のひとつですね。
完全に時間がない・音を出せない人は
音楽以外の人生で大切なこと
仕事や勉強の合間に好きで始めて続けているはずの音楽。
残業が終わらなくて遅くなったり、
お腹をすかせた家族のご飯を急いで用意しなきゃならなかったり、
疲れて動けない日があったり、
音楽を最優先にできる日ばかりではないのは自然なことでしょう。
だって期限のある仕事を投げ出してしまうわけにもいかないし、
お腹をすかせた子供をほったらかすこともできないし、
体調が良くないときは休まなければどうにもならないのですから。
そういう大切にしなければならないたくさんのことを優先する度に、いちいち罪悪感なんて感じないで堂々としていたいものです。
その上で音楽もしたいと思うのなら、それだけでとってもステキなこと!
「1日休んだら3日分下手になる」
「毎日音出ししなきゃいけない」
「音が出せなくても指だけでも動かさなきゃなまっちゃう」
そんな風に自分を縛って苦しくなることはありませんよ。
もちろん練習は継続した方が上手くなる速度は上がります。
それに毎日やったほうが安心感だってあるでしょう。
でも、知っていますか?
「毎日たくさん練習しなきゃ!」と感じるのは実はものすごく時間をかけないと上手くなれない練習の仕方をしているからなのです。
ムダな練習には時間がかかる
プロ奏者や上手な人は「この練習をこれくらいやったら完成度はこのこらいだな」というイメージを持っています。
だから「毎日やらなきゃ」なんて思わないのです。
「必要な手順を踏むにはこの時間が必要だから、いつやろうかな?」と思うだけです。
しかもいざ着手すれば結構短時間で済んでしまうもの。
だって楽譜を読む方法は知ってるから、いつまでも無限にずっと楽譜を眺めていなくてもいいし、
指や息のコントロールがどういう手順で身についていくのかちゃんとわかってるから、出来てないのは練習不足だと自分を責めたりせず「必要な手順の途中なんだな」と思うだけだし、
音が良くなったのかどうか微細な変化が聴こえてるいから「練習した感」を求めて長時間やらなくても変わったかどうか自分で判断できるのですから。
あなたもせっかく作った貴重な演奏するため時間で無駄なことをしなくたって良いのですよ。
本当に効果的な練習を知っていたらいつできるのかわからない焦りや、出来ないでいる限りずっと続けなければいけないムダな練習から解放されるのです。
また、お休みの後でひさしぶりに吹くときには「できなかった罪悪感」ではなく「やっと演奏できるよろこび」を感じながら吹きたい!
そう思いませんか?
せっかく音楽をするなら罪悪感を帳消しにするためではなく、もっと楽しくなるために演奏しましょうよ!
「わたしは下手なんだからもっとやらなきゃ」
「できてないのにさぼってるって思われたくない」
「トンチンカンな歌いまわしだと思われたくないからどう見たら良いかわからないけど楽譜を長時間睨んでる」
そんな風に自分のネガティブな心や他人からの批判を怖がってそこから逃げようと練習するのではなく、自信を持って演奏するために、そして罪悪感なく心軽く楽しく練習に向き合った方が幸せでしょう。
音楽以外の大事なことを犠牲にせず、かといって大好きな音楽も諦めずに続けていきたいのなら、本当に効果の出る練習方法や譜読み方法を知り、出来たかどうか判断する耳の精度も上げておくのも一つの選択肢です。
これからの音楽ライフを焦りや罪悪感ではなく、楽しさや充実感を持って気持ちよく過ごせるようになりたいものですね。
苦労するなんてバカバカしい
時間を節約することに関して、もうひとつ。
「スキルを身につけるには苦労するべき」と言葉、最近ではあまり目にしませんが、苦労と学びの質は関係ありません。
世の中には演奏を本業にした人もいるし、そうでない人もいます。
音楽以外のことを仕事にすることを選んだ方は、演奏を仕事にした人がやってきたような音楽と演奏に関する学びや経験を得るのは難しいでしょう。
それはただの専門分野の違いであり、そこに優劣は存在しません。
誰でも自分の一番やりたいこと大切にしたいことを優先するもの。
良い悪いなんて個人的な考えの違いでしかなく、どんな選択もその人にとって最善のものなはず。
基本的に「悪い結果につながる選択をしよう!」と思って動く人はいないのですから。
あなたもこれまでの人生でその時その状況の中で自分が一番良いと思う選択をしてきたでしょう。
その中で音楽を選んで仕事にするために情報を苦労して集めてきた人間は、後から学ぶ人やそれを専門にしていない人が同じ苦労をせずにすぐ使える状態で学べるよう仕組みを作る、それが先に歩いた人間のやるべきことではないかな思います。
「自分が苦労したから次の人も同じように苦労しろ」なんて全く意味がありません。
できるだけ無駄な苦労をせずに必要なことを身につけてしまって、その後さらに先に歩いていってもらいたい。
ということでわたしは自分が受けてきたそのままのレッスンをしてはいません。
もっと簡単に、
もっとわかりやすく、
もっと効率的に、
もっと演奏に直結するように、
そして何より奏者本人がわくわくして音楽に向き合えるよう、
毎回受ける人ごとにレッスン内容をアレンジをしています。
決まったカリキュラムではなく興味の湧くトピックを選んだり、ゴールとして目指すもので取り上げる内容を変えているので、プロアマ問わず受講者さんはわたし自身が大学やレッスンで学んだ時よりもずっと短期間でスキルアップされています。
もしも「最短でスキルアップしたい!」という気持ちがある場合は相談に乗りますのでお声がけくださいね!