アレクサンダーテクニーク レッスン 身体の仕組み

運指は指だけの問題じゃない

運指がうまくいかないのは指以外に運指に関わっている身体の部位が適切に働いていないことが原因かもしれません。

今回は指を動かすことに関わる身体の動きについてみていきましょう。

手指

運指は指だけじゃない

一般的に運指と言われてイメージするのは指でしょうが、指を動かすのは「指だけ」を動かすということではありません。

例えば自分の鼻を指で触ってみましょう。

次に、その指で自分の目を触ってみましょう。

どうですか?

ほとんどの人は「指を動かす」と思いながら、腕ごと動かしたのではないでしょうか。

楽器の演奏でも全く同じです。

・弦楽器やピアノでポジションの移動がスムーズにいかないとき

・管楽器で遠くのキーが押さえにくい時

無意識に指だけで何とかしようとしていないでしょうか。

他にも使える部分があるなら活用しなくてはもったいないですよ。

指を動かすのは指だけではないのです。

 

指以外で運指に関わるのは

では例えば他には指を動かすために身体のどこを動かせる可能性があるのでしょうか。

手首!

という答えが最初に聞こえてきそうですが、そう思った方は正解です!

手首も動かせます。

では。

手首にはどんな動きができるでしょうか。

・前後の動き

手首屈曲

手首伸展

・左右の動き

手首尺屈

手首とう屈

これは問題なくできます。

では

・回転の動き

肘回し

これはできますか?

実はこの動き、手首ではできません。

もしも手首が回転してしまったら・・・骨折してますから今すぐ病院へいきましょう!

ではそれは一体どこの動きなのでしょうか。

もったいぶっても仕方ないので言ってしまうと、肘の関節での動きです。

では、肘の関節での動きが使えると運指にどう役に立つのでしょうか。

 

肘でする運指

肘の関節を使ってする運指はたくさんあるものですが、例えば・・

・管楽器のキーを押さえるとき

クラのファ.

クラのド.

・ピアノのトレモロをするとき

ピアノのド

ピアノのラ

・弦楽器で人差し指を押さえたまま他の指を動かすとき

2016-07-04_20.48.47

2016-07-06_19.50.13

(写真協力:村井薫さん/ヴァイオリニスト)

たくさんの場面で肘の回転は活躍しています。

試しに指だけでその動きをするときと肘の回転も使ってするときとやりやすさを比べてみましょう。(指だけでやろうとすると身体のどこかしらを痛める可能性もあるのでほどほどに)

ほんのちょっとの意図の違いで快適さは大きくちがうでしょう。

 

身体の正しい知識が演奏をスムーズにする

身体の仕組みを正しく知っていると奏法上の問題に出会ったときに原因がどこにあり何をすれば解決するのかを自分で考えることができるようになります。

物理的に不可能な動きをするために努力したり怪我を招いたり、ということなく「その動きのためにはどの関節の動きが必要か」を自分の身体の構造や筋力と相談しながら奏法や練習の仕方を選べるようになることは、演奏を長く快適に続ける助けになるもの。

もし周りに物理的に運指や奏法が上手くいかなくて困ってる方がいたとしたら、どういうイメージでその動きをやってるのかを一緒に考えてみると身体と奏法の関係を知っていく最初の一歩になるかもしれませんね。

完全無料

*ezweb・vodafone・softbank.ne.jp・hotmailからのご登録の場合、文字化けやメールの配信エラーが大変多くなっております。恐れ入りますが、それ以外のアドレスからご登録をお願いいたします。

  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

-アレクサンダーテクニーク, レッスン, 身体の仕組み

Copyright © 2022 聴く耳育成協会 All Rights Reserved.