聴く耳育成メソッドとは
演奏の基礎となる耳のトレーニングである「ソルフェージュ」を軸に、楽譜からストーリーや作曲者の意図を読み解く「アナリーゼ」、演奏のための心身のコントロール技術である「アレクサンダーテクニーク」を含め、演奏に必要なスキルを総合的に学ぶメソッドです。
音楽的な演奏をするには楽器を使って音を出すだけでなく、
- 楽譜に書いてあるストーリーを読み解くアナリーゼスキル(作曲家の声に耳を傾ける力)
- 楽器操作のための心と身体のコントロール(自分の心と身体の声に耳を澄ます力)
- 音の変化に気付き反応するアンサンブルのための耳の使い方(音程リズムだけでないニュアンスや音楽の進みたい方向性を聴く力)
という3つの聴く力がとても大切です。
「やみくもに時間をかけて練習してるいる割になかなか上達を実感できない」
「先生やトレーナーの言う通りにしか歌い回せない」
「縦横を合わせるアンサンブル作りしかできない」
というお悩みはこの3つの聴く力がないことが原因になっていることが多いもの。
楽譜が音符の羅列ではなくストーリーに見えて来るので歌い回しに自信が持てます。
痛みやストレスなく高いクオリティで長く演奏を続けることができ、また練習を効率的に組み立てられるようになります。
音程リズムだけでない音楽の要素が聴こえてくるので充実したアンサンブルができるようになります。
譜読みの仕方や今の自分に合った練習の組み立て方がわかり、アンサンブルでの耳の使い方がわかれば、やりたい音楽が見えてきて歌い回しに自信を持て、心にも身体にもストレスなく音が出せて、音程やリズムも的確になっていきます。
それがあなたの本来の音楽センスであり、
演奏をもっと楽しくするための方法なのです!
アナリーゼ、アレクサンダー・テクニーク、ソルフェージュそれぞれについて詳しく解説してみましょう。
譜読みのスキル(アナリーゼ)
アナリーゼとは
楽譜を読んで「どんな曲なのかな?」ということがわかるために分析をする作業です。
和音の組み合わせによる曲の表情の変化や、旋律の流れが表したいニュアンスなどを読み取って、演奏するときには音色や抑揚として活かします。
その楽譜を読み解くアナリーゼの土台として必要な前提知識が「楽典」です。
どうやるの?
同時に鳴ってる音や前後にある音などをヒントにどんな和音なのかを把握したり、似たような音形があればどんな変化をしてるのかを見ていったり、作品全体がどんなストーリー展開になっているのかを調べたりします。
演奏に関係ある?
演奏するときには和音の色合い変化や旋律やリズムの特徴、全体のストーリーがどんな風に進んでいくのか、など読み取ったことから自分がどう演奏したいかの手ががりを見つけて表情やニュアンスを付けて行きます。
それをしないとのっぺらぼうな演奏になってしまったり、先生やトレーナーの言う通りにしか演奏できなくなったりします。
もちろん関係あるでしょう。
どうやって身につける?
専門に学ぶ方は楽典から始まり和声学、対位法、作曲編曲の知識、ソルフェージュなどたくさんの科目を修めてアナリーゼが出来るようにしていきます。
専門家ではない時間的にも労力的にも限られている愛好家の方は、取り組んでいるエチュードや曲を素材に重要なポイントだけ抜き出して少しずつアナリーゼの概念に慣れていきます。
どんなレッスンが受けられる?
例えばこんなパート譜の場合、「小節の中にある音はドとミとソの3つなのでドミソの和音が想定でき、これはC-durの1度という落ち着きの役割を持つ和音です」というようなところからスタートします。
慣れてきたらベートーベンやシューマンやドビュッシーなどソロからオーケストラの作品まで実際演奏する曲を取り扱います。
どこで学べる?
一般的には音楽大学の授業として取り扱われています。
吹奏楽関連団体や音楽大学、楽器店主催のものなど、指導者向けの勉強会や指揮法と合わせた作品分析のワークショップなどを企画開催されることもあります。
当教室では主にソルフェージュの個人レッスンやオンライングループレッスンなどで取り上げており、初めての方向けの内容は入門講座で体験することが出来ます。
気になる方はぜひどうぞ!
心と身体のコントロール(アレクサンダーテクニーク)
アレクサンダーテクニークとは
もしかしたら管楽器奏者のためのものというイメージがあるかもしれませんが、脊椎動物全てに共通の身体のシステムの使い方のことです。
何か特別な才能があったり特殊な能力を身につけたりするのではなく、そもそも元から人間の身体に備わっている機能をより良く使ってやりたいことをより効率的に良い質で行いましょう、という考え方です。
俳優やダンサーなど身体表現を行う人、またスポーツ選手などが多く学んでいますが、人間が行う日常動作全てに関わる身体コントロールのスキルです。
名前が長いのでATと略されることもあります。
アレクサンダーテクニークは何に役立つの?
例えば楽器演奏や日常動作などで行おうとすることに対して、思った通りに動けなかったり不自由を感じている場合に、解決の手掛かりを得られます。
また、身体に無理のかからない動作を選んで動くことでケガや故障を防ぐことにつながります。
自分では気が付いていない些細な動きの変化をすることで、何気なく行っていることがもっとずっと快適に上手くできるようになることも多いです。
アレクサンダーテクニークってどうやって使うの?
身体の仕組みについての勘違いがあればそれを直したり、思考の整理を行なって、実際の仕組みに沿った動きに繋がる思考習慣を作っていくことで自分の心身を思ったようにコントロールできるようになっていきます。
身につけるにはどうしたらいい?
今は世界中にアレクサンダーテクニークに使い方を教える学校があり、音楽大学などでも授業として取り入れられています。
個人レッスンをしているAT教師も増えてきています。
どんなレッスンがあるの?
個人レッスンとグループレッスンがそれぞれあります。
何かテーマとなる動きをやってみて、それに対してAT教師が別の可能性の提案を言葉や手を触れることで行うスタイルが多いです。
個人レッスンでは時間をかけて繊細なレベルまで動きや思考を掘り下げていくことが可能です。
グループでは自分以外の人の考えてることやお悩みに触れることができるので、思ってもみなかった角度から新しいことを学んだり出来るのが特徴です。
どこで受けられる?
アレクサンダーテクニークのレッスンを謳っているレッスンスタジオは随所にあるので、お近くのスタジオを検索してみると良いでしょう。
その他に演奏家や音楽講師がAT認定教師の資格を取得している場合、音楽の特化したATレッスンや講座を受けることが出来ます。
アレクサンダーテクニークは単体で学ぶものではなく、何かしらの専門分野をさらに進化させるために使うことがほとんどです。
教師もアレクサンダーテクニークだけでない別の分野の専門家を兼ねていることがほとんどで、俳優さんやスポーツ選手、音楽家などが資格取得しているケースが多いです。
スポーツ選手でもあるAT教師にフルート演奏を教わりに行くなどは可能ではありますが、共有している前提知識が全く違うので大変効率が悪いもの。
ご自身の深めたい分野に精通したAT教師を選ぶことが、効率的に学びを深めるために役立ちます。
音楽的な耳の使い方(ソルフェージュ)
ソルフェージュとは
ソルフェージュというのは音程やリズムを聴き取ったり音楽の進みたい方向を感じる力、微細な音の変化やニュアンスの違いに気付く「聴くスキル」のことを言います。
耳が良い・悪いという表現をされることもありますが、これは聴力のことではなくて聴こえた音からどれくらいたくさんの情報を受け取れるかということ。
つまり音楽的な注意力のことです。
ソルフェージュは多くの音大で書き取りや初見視唱などが入試科目になっていて、入学後にも授業があります。
ソルフェージュが出来ると
たくさんの情報を受け取ることができるとハーモニーが合っているかどうかリズムがどうなっているかだけでなく、明るい・暗い・鋭い・柔かい・硬い・太い・細いなど含まれる倍音によっての音色やニュアンスの変化といった微細なことに気がつけます。
言語で例えると「ねえ、あのさ・・」と言われたときにそれだけでも
・楽しい話をきいてほしい
・怒っている
・呆れている
など表情やニュアンスを聴き分けることができるとコミュニケーションがより円滑になるでしょう。
音楽でも受け取ることのできる情報が多いほど、曲を聴いたときや演奏するときにより意味を持って感じられるので、フレーズを意味のわからない音の羅列だと思っている場合より興味深く楽しく演奏する・聴くことが出来ます。
周りと合わせるアンサンブルでも、自分や周りの音がどんな風に響いているかを把握してお互いに反応し合えると、ただ一緒に楽譜通りに音符を並べる場合より充実した演奏をすることが出来きるものです。
どんなレッスンがある?
教室や先生の方針などによって違いは見られますが、先生がピアノで弾いたものを聴いて五線に書き取る「聴音」と、短いフレーズを声で歌う「視唱」のレッスンが一般的です。
当教室のレッスンでは合奏をしたり教えたりする方が対象なので、楽器でのハーモニー合わせやボールやスティックを使った身体を動かして身につける実践的なリズムトレーニング、実際の曲の分析の仕方解説なども取り入れています。
グループレッスン・個人レッスンそれぞれありますが、他の受講者からの刺激を受けつつ遊び感覚で身につけて行くのがグループレッスン、よりきめ細かくそれぞれのレベルに合わせてスキルの精度を上げていくのが個人レッスンです。
どこで受けられる?
音高・音大受験のためのソルフェージュは音楽教室や個人的に師事するレッスンにて行われています。
ピアノまたは声楽の講師から副科ピアノレッスンと同時に個人レッスンで教わるケースが多いでしょう。
他には一般的には子供のための音楽教室で、音符に慣れたりリズムの概念を知る段階としてリトミックとセットで行われることも多くあります。
大人の愛好家向けソルフェージュレッスンというのはあまり一般的ではありませんが、受験対策のソルフェージュを行っている講師であれば対応可能なケースもあります。
首都圏であれば当教室がおすすめではありますが、それ以外の地域で対面レッスンを希望される場合はお近くの音楽教室に問い合わせてみるのが良いでしょう。