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通勤中にスキルアップ!音程インターバルを把握するセルフ・トレーニング

今回は音のインターバルを把握するトレーニングをご紹介します。

忙しい社会人の負担にならず継続できるよう、特別な道具を使わずに通勤電車の待ち時間や乗車中でも出来るシンプルなトレーニングになっています。

ぜひ順番にトライしてソルフェージュ力をアップして行ってください。

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心唱(インナーシンギング)

ここでは、声に出さずに心の中で歌う「心唱」(インナーシンギング)という手法を使います。

声に出して歌うのは一般的ですが、ダルクローズ=リトミックでは声に出さずに心の中で歌う心唱(インナーシンギング)を大切にしています。

心唱では耳から聴こえる音としてフィードバックを得られない分、声を出すトレーニングより難易度が高く、身に付く音程感やリズム感は精度がより高くなります。

難点としては、無意識に脳内補正をしてしまえばズレに気付けないという面もあり、その点では要注意のトレーニング方法です。

実際、楽器を演奏しながら声を出して音を把握するのは不可能であり、現実的には心の中で音を歌いながら音を把握しつつ進んでいくことになります。

もしも心の中で歌うことに自信の無い方は小さくハミングで声を出しても構いませんが、声を出さずに歌うことに慣れると実際の演奏の場面でそのまま応用することが出来ます。

単なるソルフェージュのトレーニングではなく実践を見据えた優れたトレーニングですので、ぜひチャレンジしてみてください。

 

用意するもの

今回ご用意いただきたいのは、ピアノアプリとイヤホンのみ。

今はスマホでピアノの鍵盤の画面をタップしたらその音が出る無料アプリが各社からたくさん出ています。

どれでもいいのでダウンロードしてしまいましょう。

わたしはスマホでは「Real piano」、タブレットには「walk band」と「perfect piano」というアプリを入れてます。

また、楽譜アプリのpiascore(ピアスコア)やforscore(フォースコア)を使っている方は、音の出る鍵盤が表示できる機能もあって便利ですよね。

ダウンロードしたい方のために、一応Real pianoのリンクを載せておきますね。

アンドロイド用

iOS用

イヤホンを接続して鍵盤を弾けば、電車でも周りの迷惑にはならずにトレーニング出来るのでお手軽ですね!

 

通勤中にスケールの精度を上げる

それではスケールを精密にしていくためのトレーニングをご紹介していきましょう。

【通勤ソルフェ】入門編

まずはピアノアプリを使って音程感覚のトレーニングを行います。

1、初めにドの音を弾いて聴いてみましょう。

※黒い鍵盤が二個(三個ではなく)並んでるところに右手の中指と人指し指を乗せて、そのすぐ左の親指で触れる白いところがドです。

「黒黒ド」、と覚えましょう。

2、ドを弾いて、その音を聴いたら3秒ほど数えてみましょう。(大体でokです)

3、3秒を数えたら、さっき聴いたドの音を心の中で歌ってみます。

隣の席に誰もいなかったらごくごく小さくハミングしてみても良いかもしれません。

その音、本当にさっきのドと同じでしょうか?

ドキリ・・。

4、アプリでもう一度聴いてみましょう。

さっきのドだったあなた、さすがです。

ズレてしまってたあなた、何度も繰り返せば合うようになるので大丈夫です。

誰でも初めはズレるのが当たり前なので、一回でがっかりせず通勤中やトイレ休憩のときなど、しつこく何度もチャレンジしてみましょう。

声に出さず心の中で歌う方が、ハミングするより効果があります。

これは第一歩目、これが簡単に出来てしまった方は次の段階です。

 

【通勤ソルフェ】基礎編

今度は聴いたばかりのドの音ではなく、別の音を心の中で歌ってみるトレーニングにチャレンジしてみましょう。

手順は以下の通り。

1、ピアノアプリでドの音を聴いて確認します。

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2、すぐにドの音を心の中で歌ってから、今度はレを心の中で歌ってみましょう。

(声に出さないほうが効果的なトレーニングになりますが、難しければ小さくハミングしてもいいですよ!)

思い浮かべたレの音は本当にレだったでしょうか。

3、アプリでレを弾いて確認してみましょう。

合っていた方、おめでとうございます!

ずれていた方はたった一度で懲りずに、お茶休憩やトイレへ向かう途中歩きながらなど、何度もチャレンジしてみてください。

続ければ必ずできるようになります。

ドを基準にレが心の中で歌えたら、それは長二度という音程のインターバルを把握しているということ。

長二度というのは音の距離であるだけでなく、響きの含む濁りの気配であり、なめらかな旋律のニュアンスです。

4、レができたら次はドを聴いてからミ、

ドを聴いてからファ、

ドを聴いてからソ、

とチャレンジを進めていきましょう。

慌てて欲張ってたくさん進めようと思わずに、一週間にひとつずつ進むくらいのペースで焦らず進めていくのがおすすめです。

一度にたくさん進めようとして挫折したり飽きたりするのでは意味がありませんから。

そして頑張りすぎて疲れたときには、音楽のことは忘れて休みましょう。

疲れてるときにムリにやっても学習効果は期待できませんからね。

この音程インターバルが取れるようになると、楽器を使わなくても楽譜を読むことが出来るようになります。

音を出さなければ譜読みが出来ないのであれば場所と時間の確保が大変ですが、音を出さなくても譜読みができるのなら、楽譜さえ開ければどこででも譜読みが出来ますね!

ぜひチャレンジしてみてくださいね!

 

【通勤ソルフェ】発展編

次は音程インターバルの組み合わせ応用として、簡単な旋律を心の中で歌ってみましょう!

ここでは、「好きな曲で気分が上がって実は不正確なのに気付かない」ということが起きないよう、流行りの曲や憧れの曲ではなくカエルの歌やチューリップの歌など極めてシンプルで短い曲が素材として良いでしょう。

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一音思い浮かべたらその音をピアノアプリで確認、あっていたら次に進み、少しでもズレてたら1つ前の音からのインターバルを何度も歌ってみる、というしつこい進め方がおすすめです。

「なんとなく合っているかな」

などの雑で良い加減な感覚で進めてしまえば、あやふやな音程感覚が身についてしまうので注意しましょう。

チューリップの歌(冒頭のみ)なら

(心でドー)アプリでドを確認

(心でレー)アプリでレを確認

(心でミーー)アプリでミを確認

(心で ドー)アプリでドを確認 ★注意

(心でレー)アプリでレを確認

(心でミー)アプリでミを確認

という風に進めていきます。

★印をつけたミからドに行くときは少し離れてるので、インターバルがどれくらいの広さなのかをよく思い出して次の音に進みましょう。

隣合った音に進むときより一音飛ばしの離れた音にいくときの方が、音程の幅を狭く取ってしまって上ずりがちです。

要注意ですね。

こんな遊びをしていると、満員電車もイライラせずに過ごせるのではないでしょうか。

上手く出来るようになってきたら、今度は楽器を出した時に心唱してから音を出すことを習慣にしていきましょう。

楽器任せの音程感で音を出してしまえば正確な音程感は身につかないので、丁寧に一音ずつ心の中で歌ってから音にしていきます。

時間がかかるような気がするかもしれませんが、プロ奏者なら誰でも当たり前に常にやっていることです。

慣れたら細かい動きでもパッと短時間で出来るようになるので、根気良く諦めずに取り組んでみてくださいね。

心の中で音を思い浮かべてから音を出すと、何となくノープランで吹いたときと比較して、遠くで聴いた時にぼやけず何を吹いているかがはっきり伝わる輪郭の出た演奏になります。

せっかく緊張して吹いたソロのフレーズがあやふやで何だかよくわからない、というのではもったいないですからね。

ぜひチャレンジしてみてくださいね!

 

【通勤ソルフェ】実践編

次はもう一歩進んで、チューリップの冒頭よりもインターバルがより多く含まれた曲を最後まで歌ってみましょう。

とはいえシンプルな音並びを素材にしたいので、今回のテーマは「メリーさんの羊」です。

「そんな子供の歌!」とバカにしてはいけません。

曲になれば音階のようにドから順番に歌うだけでなく、様々な音を基準にして次の音とのインターバルを思い浮かべる練習になるので、心唱(声を出さずに心の中で歌う)するのは意外に難しいもの。

でも出来たら楽しいし、演奏のためのソルフェージュ力も育てられるのでぜひチャレンジしてみましょう!

今回はC-durで、

ミーレドーレーミミミー

レレレーミソソー

ミーレドーレーミミミー

レレミーレドー

で行きます。

まず最初にドの音をピアノかアプリで聴いてみましょう。

そうしたら心の中で曲の通りミから歌うのですが、これは気が遠くなるくらいの物凄くゆっくりなテンポで行うのがポイントです。

急いで進んでしまっては、よく音程が頭に思い浮かばないうちに次に行ってしまい意味がなく、また合っているかどうかの確認もいい加減になってしまいます。

まず最初の音を心の中でミーと思い浮かべられたら、それがさっきのミと同じかどうかを実際に音を鳴らして確認します。

(歌う前にミを聴いたら意味がありません)

「よしよし、合ってるな!」と思ったら、次に今アプリで聴いたミの音を基準にレーと心唱して、またそれをアプリで合っているかどうか確かめます。

これはミを基準にした下へ2度のインターバルです。

低い音を基準に高い音を思い浮かべるのは割と簡単ですが、反対に高い音を基準に低い音を心唱するときには注意が必要です。

誰でもそうですが、音が上に行く場合と下に行く場合は違う音程の幅になりがちなので、正確にしていきましょう。

心で歌うのが難しいと感じるのなら、周りの迷惑にならないよう小さく鼻唄でハミングしてもいいかもしれません。

続けて今度は、今アプリで聴いたレの音を基準にドの音を思い浮かべます。

これはレを基準に下へ2度のインターバルです。

そのまま曲の通りに次はレの音に進んでいきましょう。

次は今アプリで聴いたドを基準にレを心の中で歌います。

そんな要領で、ドレミの上行下行を3小節目まで行っていきましょう。

その次の4小節目はミソソーで、ミとソが離れた音。

ここでミを基準にした3度のインターバルが登場します。

またこのソから次のミへはソを基準にした下方向への3度のインターバルですね。

こんな手順で一通り心の中で歌います。

一見とてもシンプルな曲ですが、意外に集中力が必要なことに気が付くでしょう。

かなりの集中力が必要なので、初めは気が遠くなるゆっくりテンポでないと出来ないはずです。

速いテンポで出来たとしたら、楽器演奏の他に相当努力してソルフェージュのトレーニングを積んで来られたのか、出来ていないことに気づいていないかのどちらかです。

続けるうちに音を思い浮かべるスピードは少しずつ自然に上がっていくので、意図して「速く歌おう!」とは思わず、急がば回れで地道に進めて行くのがおすすめです。

テンポを急ぐためにストレスを感じながら歌うと、かえって集中しにくくなって習熟スピードが落ちてしまいますから。

無理なく確実にできる自分のテンポを守ることを大切にしつつ、色々な曲でチャレンジしてみてくださいね!

 

音符と運指をセットにする弊害

楽器を構えて息を入れて音を出す、その前に必要な「表現」について考えることが抜けてしまうケースは少なくないでしょう。

それは、初心者の時に楽譜を見ながら運指を覚えていったことも、原因の一つかもしれません。

実は学校の吹奏楽から音楽を始めた多くの人が「この音符はこの運指」というように、楽譜の記号と身体コントロールを結びつけて最初に覚えてしまっています。

それ自体は必要なことですが、

「ここはラだからこのキー」

「次はシだからこの穴を押さえる」

と身体の操作で夢中になってしまうと、音をイメージする習慣が身につきません。

そうなると実際に出た音を聴いて、「こんな音だったのか!」とハッとするというお粗末な事態にもなるでしょう。

そしてそれがクセになると、音符を見たら指やアンブシュアをどう動かすかしか考えられなくなってしまいます。

それでは楽器を外して声だけにしたときに、何がしたいかわからなくなってしまうでしょう。

ソルフェージュを学ばずに楽器操作だけ練習するのは、何を言うか決めずに早口言葉の練習をするようなもの。

混乱する練習をしているようなものです。

「それでは歌ってみよう」と楽器なしで音符を読んでみる方もいらっしゃるかもしれません。

それなら出したその声がきちんと音楽的に思考整理された歌になっているかどうか、判断するための指針を持っておきましょう。

ソルフェージュの歌い方はカラオケの点数が良くなる歌い方とは違います。

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・発音や語尾がどうなっていたら良いのか

・出た音の何に着目してどう判断するのか

そんな微細な音の違いについてきちんと知っておきたい方は、当教室でなくても構わないのでお近くで、ぜひ演奏のためのソルフェージュレッスンを受けてみてくださいね!

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 著書『音大に行かなかった大人管楽器奏者のための楽器練習大全』(あーと出版)を2023年8月に発売。Amazon「クラシック音楽理論」カテゴリーにて三週間連続ベストセラー第一位を獲得した他、「音楽」カテゴリー、「クラシック音楽」カテゴリーでもベストセラー第一位を獲得。 BODYCHANCEおよびATI(Alexander Technique International/国際アレクサンダーテクニーク協会)認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。聴く耳育成®︎協会代表理事。管楽器プレーヤーのためのソルフェージュ教育専門家。クラリネット奏者。

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