良いと言われてる作品や奏者、実はどこが良いのかわからない・・そんなことって無いですか?
有吉尚子です。こんにちは!
「自分はそれは好きじゃない」というのとは別に、何かしらいいはずなのだけれどどこが良いのかピンと来ないという場合のお話です。
趣味や好みは十人十色なのできっとみなさん何かしらそういう経験をしていることと思います。
音楽に関して言うと、作品の魅力がわからないのは自分に感じる心が無いのではとか他の人に聴こえる何かが自分には聞こえてないのではないかなんてことではありません。
着眼点を知らないからなんです。
例えば、タバコのポイ捨てをしてる人を見かけたらちょっと嫌な気持ちになりますよね。
それは「タバコは灰皿に入れるもの」というのを知ってるからこそ感じる違和感からきています。
他にも人が亡くなったときに悲しいのはもう動かないし会えないことを知っているから。
それを知らなかったら、呼吸運動が停止したのはただ物理的生理的な変化が起きただけとしか感じられないはずですよね。
ラヴェルのボレロが面白いのはたくさんの音楽理論の規則を破りまくってるから。
規則を破って面白い響きをわざわざ作ってるんだと知らなければ、変な響きなだけで何が面白いかなんてわかりません。
それまでただの色付け飾り扱いされていた管楽器をメインにしたところが新しいんだ!
この作品はソナタ形式などのありがちな構成に比べてこんな風に特徴的なんだ!
それってどこに注目すると面白いかわかってるからこそですね。
何の予備知識もなく楽器の演奏もしたことのない方が「音楽はわからない」というのはセンスが無いとかそんなことじゃなく前提として知ってると楽しめることを知らないからです。
そう考えると音楽の世界は無限ですから長く演奏を続けているわたし達もまだまだ新しい着眼点を知ることは出来るんですよね。
そういう風に作品のどこがどう魅力的なのかに気がつく感性を磨くためのものがアナリーゼです。
決してなにか唯一の正解の表現を求めるためではありません。
すでに知ってるしわかってる作品をもっともっと魅力的に感じるためにまだまだ出来ることはたくさんあるんですよ!