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憂鬱になる音楽

音楽って楽しいとか美しいだけではありませんね。

有吉尚子です。こんにちは!

悲しかったり激しかったり、言葉で表現するよりもたくさんのことを作曲家は音に書き残しています。

ただ音符をなぞって並べるだけでは音楽にはならないので場面やフレーズの一つ一つの意味を考えたり感じ取ろうとしたりして自分の中でどう演奏したいかを組み立てて行きますよね。

ひとつおもしろいエピソードがあるのでご紹介します。

音大在学中の試験や発表会の前、クラリネットでは練習を終えて個室から出てくると憂鬱そうな顔になってる学生が何人かいます。

それはプーランクの「クラリネット・ソナタ」を選曲した人たち。

派手で点数が取れやすいので試験でよく演奏されるんです。

でもこれは作曲者プーランクが亡くなった友人を思って書き完成後すぐ自分自身も亡くなる、という死の気配が濃厚な作品。

毎日長時間それに共感して向き合い続けたらそりゃ憂鬱な気分にだってなりますよね。

練習室から暗い顔で出てきた友人に「プーランクをさらってたの?」と声をかけて「わかるわかる、そうなるよねー」なんて笑い合うこともありました。

アレクサンダー・テクニーク教師でありカーネギーホールでもリサイタルをするヴァイオリニストでもあるジェニファー・ロイグ・フランコリさんがブログ記事に「音楽家にとってその繊細さは宝物であり演奏のためには 繊細であることは必須だけれど自分自身がそれに飲み込まれる必要はない」ということを書いています。

まったくその通りですね。

日本語に訳されたページがあったような気がするんですが見つけられないのでひとまず元記事のURLを貼っておきます。
http://www.artoffreedom.me/depressed-or-anxious-read-this-its-essential/

楽譜から情報を受け取るだけでなく共感出来るほどの繊細さを持ってるということは誇っていいくらいだと思いますがずっとその影響を受け続ける必要はありません。

そして時代背景や作曲された経緯やアナリーゼがわかっても、一番肝心のそこから読み取った色んなことに共感する気持ちを持てるかどうかというのが表現欲求につながってるのではないかなと思います。

理論を知らなくて楽譜の意味が読み取れないというのは共感とかいう以前の話ですが、分析だけ出来てもそれを有効に活かせなければ仕方ないんですね。

あなたは普段見ている楽譜から何か感じようとしていますか?

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。

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