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ただ聴くだけのことが難しい

有吉尚子です。こんにちは!

文芸評論家であり作家でもある小林秀雄さんの著書「考えるヒント3」に収録されてる美を求める心」というエッセイ、ある新聞で紹介されていたのを見かけて読んでみました。

ほんの10ページほどの短いエッセイです。

一文一文ハッとさせられるようなものばかりでしたが、その中でも特に印象深かったのはこんなことでした。

「美しさを感じる心というのは分析理解することでなく、対象そのものを愛し感じることでぼんやり見ずに繊細に感じることは訓練が必要である。」

「大人になると花を見ても名前を認識できたらもう花は見ない。こどもは花の名前は知らなくても微妙な色彩や形をいつまでも飽きずに眺めている、 それが美を感じること

指揮者のフルトフェングラーも自身の著書で音楽について同じことを述べてます。

これは美しさというのは何かという話ではなくて、音楽や詩・絵画を「わかろうとする」人に向けて書かれた文章のよう。

わかろうとすることと感じようとすることの違い、深いですね。

私の書いてるこのページではよく和音やフレーズがどんな印象だか言葉にしましょうと毎度しつこく書いています。

名前をつけたり分析したりせずにただ感じることが大切だというこのエッセイの著者とは言葉上は反対の理論のようですが、音楽に限らず芸術を楽しみたければ感覚を研ぎ澄まして繊細な違いに目が向くように訓練する必要があるという点で全く矛盾するところがなく共感できるな、なんてことを思いました。

他にもゴッホのことやロシア文学についての考察、表現することについてなどなど、興味深いテーマでいくつもエッセイが収録されています。

普段つい目先の手軽な満足感を追いかけてばかりになってしまう、なんて方にとってもオススメです。

「考えるヒント3」
小林 秀雄著
文春文庫より

気になる方はぜひ読んでみてくださいな!

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  • この記事を書いた人

有吉 尚子

1982年栃木県日光市(旧今市市)生まれ。小学校吹奏楽部にてクラリネットに出会い、高校卒業後19才までアマチュアとして活動する。20才のときに在学していた東京家政大学を中退し音大受験を決意。2003年洗足学園音楽大学入学。在学中から演奏活動を開始。 オーケストラや吹奏楽のほか、CDレコーディング、イベント演奏、テレビドラマBGM、ゲームのサウンドトラック収録など活動の幅を広げ2009年に洗足学園音楽大学大学院を修了。受講料全額助成を受けロシア国立モスクワ音楽院マスタークラスを修了。  及川音楽事務所第21回新人オーディション合格の他、コンクール・オーディション等受賞歴多数。 NHK「歌謡コンサート」、TBSテレビドラマ「オレンジデイズ」、ゲーム「La Corda d'Oro(金色のコルダ)」ほか出演・収録多数。 これまでに出演は1000件以上、レパートリーは500曲以上にのぼる。 レッスンや講座は【熱意あるアマチュア奏者に専門知識を学ぶ場を提供したい!】というコンセプトで行っており、「楽典は読んだことがない」「ソルフェージュって言葉を初めて聞いた」というアマチュア奏者でもゼロから楽しく学べ、確かな耳と演奏力を身につけられると好評を博している。 これまでに延べ1000名以上が受講。発行する楽器練習法メルマガ読者は累計5000名以上。 「ザ・クラリネット」(アルソ出版)、吹奏楽・管打楽器に関するニュース・情報サイト「Wind Band  Press」などに記事を寄稿。 現在オーケストラやアンサンブルまたソロで演奏活動のほか、レッスンや執筆、コンクール審査などの活動も行っている。 BODYCHANCE認定アレクサンダーテクニーク教師。 日本ソルフェージュ研究協議会会員。音楽教室N music salon 主宰。

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