前回までここ何回かはモーツァルトのきらきら星変奏曲からテーマ部分がどんな風に分析できるのか見ていました。
有吉尚子です。こんにちは!
今回は2声の旋律から和音をどうやって見ていくかの続きです。
5小節目までは調性の骨格になる1、4、5度の和音でした。
その次の6小節目はどうでしょう。
これはC-durでラとドとミがあるのでラドミの6度です。
6度は落ち着き和音ですが、完全に落ち着くわけではなく少し哀愁のある色合いが特徴的な和音です。
その次の小節はファとレとソとミがありますね。
ソシレだと考えても、属七のソシレファだと考えてもミは入っていません。
うーん、これはなんだろう??
このミは実はただの飾りで和音を構成する音ではないんです。
逸音(いつおん)という旋律を華やかにするための飾りなんですね。
なぜ飾りだとわかるかというと、実際に音を出して聴いてみたらすぐにわかりますが音符が短いことと弱拍にあることで「ちょっと違うのを引っ掛けてから 次の小節に行った方がオシャレ」というような雰囲気になっているからです。
どういう意味の音かによっても演奏の仕方が変わりますが、飾りだとわかったらこの音を他より強調した吹き方はしませんね。
例外はたくさんありますが経過的にさらりと演奏することが多いと多います。
さて、そうするとこの小節にはファソレの音がありますね。
ではなんの和音の可能性があるでしょうか。
レファラにしてはソがあるし、ソシレにしてはファがあるし、なんて迷いますがこれはソシレファのシが省略された和音なんです。
ってことは前回の記事で出てきた属七で5度の盛り上がり和音です。
ちょっと脳トレみたいですね!
その次8小節目はドの音しかありません。
これも最初の小説と同じで色んな解釈ができますがここではシンプルにドミソの1度ということにします。
これできらきら星のテーマのAの部分は全部ついている和声がわかりましたね。
実際やって見るとそんなに複雑な作業ではないのでうちに通ってるアマチュアの
生徒さんも吹きながら軽々と分析をしてしまっていますが、こうやって楽譜を見る習慣がないと音大出身でもなかなかどの音を和音の構成音として考えるかに戸惑ってしまうことも少なくないです。
ややこしいようですが慣れてしまえば意外に単純で聴きながら考えるとすぐにわかってしまうものです。
いきなりワーグナーなんて分析するのはとんでもなく難しいので、初めての時はこういうシンプルなものからチャレンジするのがオススメですよ!
次の記事はこのアナリーゼを演奏にどう活かすか、というお話です。