有吉尚子です。こんにちは!
普段直接お返事し切れない分、公開回答をしようと思い質問募集をしていましたが、興味深いメールがあったので私の意見と合わせてご紹介します。
↓↓↓ご質問↓↓↓
毎日楽しく読ませていただいております。
アナリーゼは難しいですね。
今日自主練の中で、Tpパート仲間へ楽器のならし方や和音、ソロのフレーズ感、ソロでどこへ向かって吹いていくかなどを指導しました。
ソロは、まさにアナリーゼの部分難しい。。
ところで、クラリネットや木管楽器は喉を開いて吹くといわれますが、私が金管のため、あまりよく分かりません。
この点をご教示いただけますでしょうか?
横浜市 公務員
30代 トランペット
小宮山太一さん
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小宮山さん、お問い合わせありがとうございます。
アナリーゼについてのメルマガに返信でくださったのでフレーズ感についても言及されていますがここでの主なご質問はノドのことについてですね。
「ノドを開く」という指導は昔からよく聞きます。
それがどんな意図で使われているのかは言ってる本人でないと定かではありませんが、「ノドを開く」を実際に自分でやってるという方に尋ねてみると
・音が太くまろやかになる気がする
・息の通りが良くなるようだ
というのが理由として返ってくることが多いです。
実際はどういうことなんでしょう。
必ずしもそれをやってる人に同じことが起きているのではなく、今までのレッスンで音を聴いたり身体の使い方と関連して見られたことの中でありがちだったケースに基づいたことを書いてみますね。
まず「音が太くまろやか」に感じられるという場合、実際には高い倍音を鳴らなくしてこもった音にしているパターンがよく見られます。
多くは近くで聴くと刺激が少なく柔らかくて、遠くで聴くと輪郭がはっきりせずぼやけてよくわからない音です。
これは「ノドを開く」という意図を持っても人体にはノドを広げるために何かできる筋肉は存在しないので代わりに舌を押し下げて口の中の容積を広げる動作をするのが原因なのではないかと今のところ思っています。
柔らかいこもった音が特徴のオーボエダモーレやクラリネットの機種ならクランポンのプレステージュなどのベルには管体から流れてきた空気がストレートに外に出て行かず一度スピードを落とすような空気溜まりが作られていますね。
ストレートに息が外へ流れていく機種と比較するとまろやかで柔らかくて、でも遠鳴りはしにくい構造になっているようです。
さて人体の話に戻って、人間の気道は軟骨で出来ていて広がったり狭まったりは出来ない構造です。
成人で大体16mmくらいの内径。
口の中が舌の押し下げで広くなっていれば16mmなんて簡単に超える広さが作れるので、気管からストレートに外に出ようとする空気を口の中で滞留させることができるわけです。
つまりダモーレのように楽器の構造に頼らなくても簡単に音を柔らかくこもらせられる!
ただし室内楽のようなコンパクトな会場を想定して作られた楽器が大きなホールでは遠鳴りしにくいという弱点があることも忘れてはいけません。
どんな現場でも常にそれをやるのが本当に自分の望む演奏に近づくことなのかどうかは一考の余地があると思います。
「一考の余地」とかうっかりなんか賢そうな言葉使っちゃった。
実際にやってる人の「息が通るようだ」という感覚については、口の中に空気がたくさんになるのでそれでたくさんの空気を扱ってる感じがする、ということなのではというのが今の私の見解です。
だって客観的に見たら出ていくスピード自体は緩んでるわけですからね。
そんなこんな、かなりマニアックな回答になってしまいましたが何かの役に立てていただけたら嬉しいです。
実際にワークショップに参加するとこんな質問への回答もしますし、よくわかんなかったら「実際にやって見ましょう!」なんて感じで進行します。
気になる方は講座の情報をチェックしていてくださいね!