息を吸うときのことについて数年前までよく言われたことに「お腹にたくさん吸いなさい」というのがありました。
有吉尚子です。こんにちは!
30代以降の方は小中学生のときに吹奏楽のレッスンなどでよく耳にしたのではないでしょうか。
簡単に身体の構造について言ってしまうとお腹に息は吸えません。
呼吸で空気が入るのは肺です。
お腹のあたりには内臓が詰まっていて肺に空気が入るときに下がった横隔膜に内臓は下向きに圧迫されます。
居場所をなくした内臓がお腹や背中やわき腹や骨盤底に向かって動くので、結果的にお腹も膨らんだように見えます。
でも実際はお腹には空気は入っていません。
お腹(胃や腸)に入っている空気はおならやゲップなどのガスです。
演奏に使うためにコントロールして吐くことはできません。
そしてもうひとつ。
お腹の周りにお腹をふくらます筋肉は存在しません。
「お腹を膨らませて!」と言われたときにお腹周りで能動的にできることは何もないのです。
お腹周りでは内臓が押されて受動的に膨らむのを邪魔しないことができるだけです。
前回の記事に書いた「吸うときは吐くのをやめる」ということと繋がっていますね。
お腹の正面側を張り出して膨らませることができたとしても、そのときにわき腹や背中側はどうなっているでしょう。
正面だけを突き出すためにはその他の部分は固めて動かないようにしているのではないでしょうか。
胴体全体が膨らむのがブレスの動きですから、それを妨げる意図はブレスの深さや質も制限してしまいます。
今はあまり見かけませんが、お腹を膨らませることがブレスを引き起こすという勘違いをしてしまってる生徒さんがいたら気を付けてあげたいですね!